ネック入れについて
ギター製作(ドイツ式ネックジョイントの場合)で最大の難関と言われているのがネック入れです。ネック入れを失敗すると、 「仕込み角が甘く弦高が高すぎて弾けない」、「ダブテイルノ食いつきが甘くネックが起きてくる」等の致命的な トラブルにつながる可能性があります。 「ネック及びヒールのセンター」がずれてネックが縦方向もしくは横方向から見て斜めに入っている、「ネックと胴の 密着」ができておらず隙間があるなどは、余りにひどい場合(ネックが斜めに入っていて、弦が指板の上を通っていないとか) は致命的ですけど、大概は多少見た目が悪いとか、ピッチが多少甘いという程度ですので、致命的な欠陥とまではいかないよ うに思います(他人に弾いてもらったり、ましてや売るなんてとんでもないってことになりますが)。 作業自体はヒールキャップの接着も含めて、慣れれば2、3日、最初のうちは1週間も見ておけばいいと思います。と 言うより、1週間もダブテイルを削っていたら、ヒールが小さくなってしまいネックが使い物にならなくなります。実際 には運もかなりあったりします(偶然がっちり入ったり)。 |
ヒールブロックの加工
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ルーター+テンプレートで一気に切ってしまう方もい ![]() |
ダブテイルの整形
また、「胴との密着」、「仕込み角」だけでなく、ネックと胴のセンターが直線でつながっているか等もこの部分を削って 合わせ込むことになります。それらがなかなか合わずに加工が長引くと(削り過ぎると)、段々ネックが短くなります。 |
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ネック入れ
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チェックポイント
ネック入れの時にチェックするポイントを何点か(思いつく範囲なので、忘れてるポイントがあったらごめんなさい)あげ ておきます。 1.ダブテイルの食いつき |
![]() 胴のセンター(表板のはぎ合わせのライン)とネックのセンターがまっすぐに通っていること。弦が直線的に張られますので、 このラインの狂いは結構目立ちます。3.ヒールのセンター 表板側だけでなく裏板側、ヒールキャップのセンターと裏板のはぎ合わせの線があっているかどうかも確認します。表板 のセンターがあっているのにこの位置があわない場合はヒールが斜めに入っている、もしくはヒール自体のセンターが ずれているということになります。 |
![]() ネックの仕込み角は弦高に影響してきます。まだフレットを打っていませんので、必要な弦高+フレット高1mm程度で取って いきます。写真の場合、定規の目盛が2mm、指板が少し浮いていますので、実際の高さが3mm程度だと思います。 実際に弦を張ると、弦高があがってくることが多いので、弦高を計る際のサドルは余裕をもっておいた方が無難な気がしま す。ちなみに、この時点では、ブリッジも指板も製作していませんので、仮のブリッジ、仮の指板を使っています。5.指板接着面と胴の水平 指板接着面の表板の面がフラットにつながっているか確認します(所謂、ネックがひねった状態になっていないか)。 特に高音側にひねっている(高音側が下がって低音側が上がっている)と、致命的欠陥になる(低音の弦幅の方が多い いので、ビビリが出やすくなる)場合があります。 |
![]() 前述したとおり多少の隙間は、強度や演奏性には影響ありません。しかし、見た目がかなりよくないので、きっちり合わせておきます。7.少しネックの方が胴より浮いていること 手で押し込んだ時、コンマ数ミリネックの方が浮いている(最後のひと押しをクランプで締めてフラットに入る程度の浮き) 方が、しっかりネックを押し込むことができます。 |
ヒールの加工
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ヒールキャップの製作、貼付
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