表板の力木
裏板同様、力木の面出しが重要です。表板の力木の外れは、裏板の外れ(音の輪郭がぼやける)以上に音にも外形にも影響がでやすいので時間をかけて完璧を目指すべきだと思います。慣れればこちらも5日もあれば十分できますが、Xブレースのクロスを組むなどの作業も加わりますので、最初は10日はみておく方がいいでしょう。 |
力木の切り出し
必要な部材のサイズを必要な厚み+αで取り、テーブルソーで切りだしていきます。力木の高さが材に比べ てかなり低い場合は、自働カンナを先に通してもいいのですが、今回はさほど落とす必要がなかったので、テー ブルソーで切ってから、カンナで仕上げることにしました。 いつもは10mm幅程度にするのですが、今回は少し太めの力木にしています。理由は何となくです。幅は12mm、 9mm、6mmの3種類だったと思うのですが、記憶が定かではありません。 |
カンナがけの際、端部の角を丸めてしまいやすいので(これも実際にしてみないと、言葉だけではわかりに くいと思いますが)、先に厚みを出してから、必要な長さに切り落としました。 |
Xブレース接着面の整形
2mm下がった位置に直線を引き、それを目処にアールをつけていきます(私の場合)。なお、Xブレースの 交点付近にはRはつけていません。そこまでRをつけてしまうと、交差部分を完全に接着することが難しく なりますので。 罫書いた線を目処に、カンナでアールを出します。アールが揃うように2本まとめてカンナがけします 。最終的にサンドペーパーで仕上げるのは裏板同様です。ペーパーだけで仕上げる人もいるでしょうし (ベルトサンダーで仕上げる人もいる)、ディスク(Rを付けて彫り込んだ板) を利用する人もいます。 この辺も自分の得意な方法、製作に対する考え方の違い等有りますので、どれが正解ということはないと 思います。 |
![]() 写真は、逆側の側面のがおかしいですね(直方体でなく台形に見える)。カンナがけして、ちゃんと直し ておきます、はい。 |
Xブレースの接着(1本目)
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Xブレースの接着(2本目)
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![]() 接着不良が見つかれば、修正可能な場合は、接着材を流しこんで押さえてやればいいですが、修正不能の場合は、外して 貼り直し(力木は作り直し)ます。 |
指板下の力木接着
力木は接着後、板の反る力に負けて変形する場合がありますので、できるだけ高めの状態で貼り付けて、形状が安定した頃 を見計らって、本来の高さに削り込んでやるほうがよいようです。実際には面倒なので、+1mmぐらいしかとらないのです けど、一応知識として知っていることを披露してみました。 接着面が仕上がれば、必要な長さにノコギリで落とし(今回は後で長さを落としましたが、多分、先に長さを落としてから サンディングした方が楽です)、接着します。この作業も3月にしていますので、 LIQUID HIDE GLUEが寒さで硬かったので、 お湯につけてゆるめてから使用しています。 |
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ブリッジプレートの接着
ブリッジの幅(長さ)より数ミリ大きめに取り、ノコギリで切断します。最終的にカンナで仕上げますので、少し大きめに切 り出し、カンナで面を整えます。Xブレースと接する斜辺は、木目に対して垂直方向(に近い)形でカンナを当てるので欠けやす くなります。先に形を整えてから、幅を出す方が無難でしょう。欠けたとしてもその部分を切り落とすことができますので。 |
クランプは懐の深いものを用意しないと届きません。クランプをかける時は、表板に不要なストレス(クランプ自体の重量) がかからないようにします。ゴーバークランプ等を使うなら、特に考えなくてもいいことですが。一晩放置して、接着完了です。 |
ブリッジ周りの力木接着
※ご注意 |
Xブレース側に穴をあけて、細い力木を通すパターンもあります。私はやったことがないので、よくわからないのですが、 強度もでそうですが、面合わせの処理も楽になりそうです。 |
力木の接着は、方法だけでなく、貼る順番も人によってバラバラです。自分がやりやすい、あるいは自分が一番きれいな形 に仕上げやすい方法を選べばいいと思います。 |
接着は硬化までの待ち時間がかかりますので、できれば複数を同時に貼る方が効率的です。この補助の力木と、サウンド ホールの補強材、Xブレースと側板を繋ぐ力木は、この段階では整形だけで後でまとめて貼っています(後述)。 |
サウンドホール周りの補強
Xブレースのクロス部の形にあうように、小さいカンナを使って、面を合わせます。木目と平行方向に削るので、欠ける危険 はありませんが、削りすぎに注意が必要です。 |
![]() カットできれば、こちらも小さいカンナで仕上げます。形が整えば、サンドペーパーを使い面取りをします。この作業、多分してもしなくてもいいだろうと思います(角が立った まま貼ってあるギターもたくさん有る)。音に関係なさそうですし、サウンドホールから決して見えないので、単に気持ち の問題なんだろうなと思います。 |
どちらの補強材も、整形できたらタイトボンド?を塗り、クランプでずれないように注意しながら、締めて接着しました。 あふれた接着剤は可能な限り乾く前に除去するのもいつもと同じです。 |
Xブレース横の力木他の接着
特に私のようにクランプで作業される方は、クランプ同士が当たらない位置を考えて、効率的に作業をすすめる必要があると 思います。まとめ貼り1日目は、ブリッジ周りの補助ブレース1本と、側板につながる力木1本です(写真に写っている側板に 延びる力木2本は置いてあるだけで貼っていない)。 |
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力木の面取りと整形
ノミを少しずつ角度を変えながら、力木を削り、曲面を作っていきます。逆目にはいらないように注意します。ざっくりいっ て大きな欠けができたり、最悪裂けてしまったりすることがあります。もし逆目と気付いたら、無理に続けて傷口を深くする ことなく、逆から刃物を入れましょう。 でも、端部分は逆目でもその方向からしか刃物を入れられませんので、そこはよく切れる刃物を使い、誤魔化し誤魔化しで 仕上げます。ノミでおおよその面が出れば、最後はサンディングで仕上げるのは、裏板の力木同様です。 |
![]() 端部はノミの切除のみで、サンディングはしません。私は刃物の使い方が下手なので、サンディングを多用しますが、刃物 を上手に使う人は、殆どサンドペーパーを使わないようです(日本の場合。外国ではまた異なります)。いつかその域にたど りつきたいですが、多分永久に無理な気がします。 |
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力木の最終調整
昔は、リペアショップなんかで、ギターのボディを叩いて「ここの力木が外れてるよ」なんて言われると、「すごい、私には とてもできない。プロは違うな」と思ったものですが、ギターを作り始めて、しょっちゅうボディを叩くようになると、案外簡 単に判別できることが分かりました。単に慣れだけの問題でした。蛇足ですが、ついでなので書くと、力木の外れを確認するに は、叩くだけでなく力木の上を押すというのも有効です。「ギシギシ」っと音がしますし、ちゃんと接着されているところと 異なり、板が動きます。 |
高音側はもう少し音が硬めになるように、1本細い力木を加えました。お得意の、意味があるのかないのか分からないけれ ど、エンドブロックに突き刺してみるパターンです。 結果を書いておきますと、箱に組んだとき、低音部は響きがまだ足りない感じになりました。もう少しスキャロップを入 れた方がよかったのかもしれません。高音部はかなり改善されたと思いますが、親の欲目かもしれません。 |