ボディの組立について
ボディの組立は、製作できた「側板」「表板」「裏板」を箱に組んでいく作業です。ギターの胴は裏板だけでなく、 表板にもRがついています(Rがついていないギターもありますが、Rが付いていないと中央部が凹んで見えます)。 側板にそれと同じRのラインをカンナで出しながら、全体のラインも整えていく作業がメインになります。慣れないうちは、なかなか綺麗なラインが出にくいので、作業時間を1週間は見ておく方が無難だと思います。削り過 ぎると、ライニングが薄くなり見た目がよくありませんので、最悪どこで妥協するかの見極めも大切だと思います。 また、クランプで締めて接着する場合、多少ラインが狂っていてもクランプの力で接着することが可能ですが、将来的 に故障の原因となりますので、締め無くてもぴったりラインが合う状態に仕上げるのが理想です。私は使っていませんが 、ディスクを使うのも有効だと思います。 |
裏板の力木等の切除
割れ止めの切断は、裏板の力木を貼った時同様、躊躇せずに、一発で切り込まないときれいな直線に仕上がりませ ん。割れ止めより幅の広いノミで直線に刃を入れ、ノミで不要部分を除去します。割れ止めの切除については、裏板 の力木接着の折にふれていますので、そちらを参照してください。 |
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力木を掛ける溝の加工
鉛筆でつけたマーキングを基準に、溝の位置を書き込みます。裏板の力木や表板のXブレースなどは、向かい合う溝と直 線で向いあっていますので、1000mmの直定規を当てて直線を結んだほうが正確な位置に書けると思います。位置が決まれば力 木の深さ分を取ってやり、溝の形にマーキングします。 |
![]() なお、深さについては、胴を削る時にまた浅くなってしまいますので、少し深めになってしまったとしてもこの 段階での修正は不要だと思います。 |
胴削り
アマチュア系は、角度付けて伸ばした木の先に、サンドペーパー付けて、角度をつけるのが主流でしょうか。アメリカのshop を見ていると、すり鉢状になっているディスクを売っていますので、それを使う方法も便利なのかもしれません。どの方法でも、 結果的にきれいなラインが出ればいいと思います。 実際には多少胴のラインと裏板のラインが狂っていても、クランプ等で強く締めてやればくっつきます。ただ無理にくっ つけている訳ですから、裏板にストレスがかかりますので、最悪は接着時に力木や裏板が割れたりします。また、例えその 時に割れなくても、数年後に裏板が割れたり、力木が折れたり、接着部が外れてきたりします。 変にくっついてもサンディングで誤魔化してしまえば、なかなか見分けるのは困難です。買うときは製作者の技術と良 心を信じるしかないんですけど、かなり有名な製作家のギターで裏板の故障が多いことで知られているものもあります ので、ギター修理を多く手がけてる工房などで情報を得るルートを持っておくとよいと思います。 |
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裏板の接着
接着部分にタイトボンド2をしっかり塗ります。溝の中も忘れずに。ハイドグルーでもOKなんですけど、タイトボン ド2の方が硬化時間に余裕がありそうなので。あて木を使い、クランプで締めます。強く締め過ぎると、裏板が歪んだり しますので、程々でやめておくことが大切です。ほどほどに締めて隙間ができる時は、素早く接着剤を洗い流し、胴削り をやり直す必要があります。 |
![]() クランプで締めると裏板の形状が変形するぐらいの隙間がある時は、ベストは貼り直しですが、そこまでするのも大変なので、 埋め木で対応するのが現実的だと思います。 |
表板の接着
箱に組む時はできるだけ適量を心掛けているのですが、それでも不安で多めに塗ってしまいます。そこで掃除が必要になる のですが、箱に組む場合、先に貼った方の面は接着剤を掃除することができますが、後で貼った面は筆が入りませんので掃 除することができません。 裏板側はサウンドホールから見えますが、表板側は鏡を使わないと見えません。見える側を綺麗に仕上げるためには、裏 板側を先に接着して掃除して置く方が、アマチュア的には合理的な訳です。プロなら適量を見極めて全く接着剤を溢れさせ ずに完璧な接着ができるでしょからどちらでもいいのでしょうけど、アマチュアは先に裏板を貼ることを個人的にはお勧めします。 |
![]() ※本器製作時はジグを表板側にあてましたが、最近は表板を貼る時も裏板側にあてています。 一晩おいて表板が接着できれば、モールドを外し、中の支え棒を外します。 |
外面のサンディング
また、外側の側板との接着が甘いと、安全な方向からトリマーを入れても木目にそって表板が飛ぶ(割れる)ことが ありますので、接着に自信がない場合も、小刀等で時間をかけて削った方が無難です。 |
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