day of start : 2000.9.17

ギター製作(maiking)

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 本製作記は以前でblog2009年1月1日に着手し、2009年9月4日に完成したPARLOR GUTAR(パーラーギター)製作記に加筆修正を行ったものです。

技術的には、まだまだ拙い頃であり、鑑賞に堪えない側面も多々あるとは思いますが、現在は採用していない当時の指導を踏襲している部分も多々あり、今は亡き師匠の製作教室の記録としても意味があるものと自負しております。拙い内容ではありますが、お楽しみいただければ幸いです。

【追記】

本器については、2015年5月に内田有嬉さん(写真:元Whiteberry 現在はソロ)に提供させていただき、現在は寺田岳史氏(元晴晴” 現アンテナフラッグス社長)の手元にあるそうです。

松ギター堂 松本 孝寿

matsu guitars – takahisa matsumoto

 

INDEX・・・目次です

製作記に入る前に

 ギター製作は、ショップからキットを購入して作る方もいれば、ギター材店からある程度切り出された材を買う方、 銘木店から大きな材を買って切り出される方もいます。今回は手元に大きなカエデの板材がありましたので、それを活用する意味もあって、材料の切り出しからしてみました。時間もかかりますし、お金も却って高くついたりするので、おすすめはしませんが。

モールドの製作

 モールドの製作は精度を出すのに、手間と時間がかかります。また作業自体は単調で、すぐ飽きがくるので、期間としては 4週間程度と気長に構えた方がよいと思います。作業期間は、1日3時間、週4日程度の作業で、 私なら何週間目処ぐらいかを記載していますが、作業の早い遅いは個人差がありますし、道具の有無によっても大きく異なりますので、あくまでも参考程度とお考え下さい。

裏板の切出し、接合せ

 裏板の製作は、接ぎ合わせと力木の面出しがどれだけの時間でできるかによって異なります。慣れれば、1週間もあれば、十分できますが、 慣れないうちは、2週間程度みておいた方がいいと思います(木取りからする場合は+1週間程度)。接ぎや面出しが甘いと、接着部が外れるといったトラブルの可能性が高くなります。

裏板の力木接着

 面が仕上がれば、割れ止めと力木を接着します。割れ止め材や力木は整形済のものも販売されていますが、板材から切り出して製作しています。難関は、力木の面出しで、カンナで加工する際、平面を出すのに相応の慣れが必要です。慣れれば、2、3日もあれば、できますが、 慣れないうちは、2週間程度みておいた方がいいと思います。この作業も面出しが甘いと、接着部が外れるといったトラブルの可能性が高くなります。

表板の接合せ、口輪入れ

 表板も裏板同様、接ぎ合わせ面の精度が重要です。裏板の様に割れ止めが無い分、より高い精度が求められますので、表板以上に時間をかけて完璧を目指すべきだと思います。慣れれば5日もあれば十分できますが、10日はみておく方がいいでしょう。

表板の力木接着

 こちらも裏板同様、力木の面出しが重要です。力木の外れは、裏板の外れ(音の輪郭がぼやける)以上に音にも外形にも影響がでやすいので時間をかけて完璧を目指すべきだと思います。慣れればこちらも5日もあれば十分できますが、10日はみておく方がいいでしょう。

 

側板の加工

 側板製作の難関はブロックの面出しだと、側板の曲げでしょうか。ブロックの接着面は、モールドの形がぴったりあってい ないと、ギターの形状の歪みや将来的な故障の原因になります。側板の曲げは、無理に曲げて割らないことも大切ですが、綺麗な曲面に曲がらず、変な尖がりや直線的な部分を残してしまうと修正が大変ですし、修正不能となる場合も多いように思い ます。作業時間は、慣れれば1週間かからないと思いますが、最初のうちは余裕をみて2週間もあれば十分でしょうか。

ボディの組立
 ボディの組立は、製作できた「側板」「表板」「裏板」を箱に組んでいく作業です。多くのギターの胴は裏板だけでなく、表板にもRがついています。 側板にそれと同じRのラインをカンナで出しながら、全体のラインも整えていく作業がメインになります。慣れないうちは、なかなか綺麗なラインが出にくいので、作業時間を1週間は見ておく方が無難だと思います。削り過ぎると、ライニングが薄くなり見た目がよくありませんので、どこで妥協するかの見極めも大切だと思います。 
バインディング他の接着
 バインディングの巻き方は、いくつかの方法がありますが、私がやっているひもだけ使って固定するやり方が、治具や工具等が特に必要なく、事前準備は一番楽だと思いますが、他の手法と比べると一番難しい(或いは一番手が痛い)やり方なのかもしれません。一本ずつバインディングとパーフリングを貼りますので、それだけで4日、その他の作業を入れると1週間は見ておく必要があると思います。
ネックの整形
 ネックの製作は、指板接着面の平面出し、ヘッドプレートの接着、ヘッドの整形、ナット周りの粗整形、ペグ穴開け、 トラスロッド溝の加工、ヒールの接着、ヒールの整形がおおよその流れです。工期は案外手間のかかる作業が多いので 10日ぐらいでしょうか。慣れないうちは手直しも多く出ると思いますので、2~3週間は見ておいた方がいいように 思います。 
 ネック入れ

 ギター製作(ドイツ式ネックジョイントの場合)で最大の難関と言われているのがネック入れです。ネック入れを失敗すると、「仕込み角が甘く弦高が高すぎて弾けない」、「ダブテイルノ食いつきが甘くネックが起きてくる」等の致命的な トラブルにつながる可能性があります。作業自体はヒールキャップの接着も含めて、慣れれば2、3日、最初のうちは1週間も見ておけばいいと思います。偶然がっちり入ることもありますので、運もあったりします。

指板の製作

 ここまでは弦高あわせ等では仮指板を使っていたので、ここでようやく作っていますが、仮指板をお持ちではない方は、遅くても「ネック入れ」までには作っておく方がいいと思います。作業の流れは、材の切り出し・整形、フレットの切り込み、ネックへの貼り付け・整形、フレット打ち込、フレット合わせの順になると思いますが、今回は塗装前にブリッジを貼っていますので、少し順番が違います。フレットを機械で切るか、手で切るかで作業時間は異なりますが、1週間も見 ておけば十分だと思います。

ブリッジの製作
 ブリッジの材料は、エボニー、ローズウッドなど硬い木材が使われます。高級なアコースティックギターではブリッジにエボ ニーを使うことが多いと思います。クラシックギターの場合は、高級品であってもローズウッドが使われます。これらの硬質な木は、落としたりすると簡単に角が欠けてしまい、表板が白いので、角が欠けてしまうと、とても目立ちます。製作期間は1週間も見ておけば十分でしょう。
塗装と仕上げ
 面取りや小傷取りといった仕上げをした後、ガンで塗料を吹いていきます。私はフィラーを使わないので、シーラーで塗装下地を作って、ラッカーで塗装をして終了です。1回吹いては、乾燥させ、 また吹くの繰り返しになりますが、5~6時間も見ておけばよいと思います。塗装が乾けば、耐水ペーパー、コンパウンドと磨きあげます。磨き終われば、ナット、サドル等の部品を製作し、ペグ、ブリッジピンなどを取り付け、弦を張って完成です。塗料の乾燥時間や、磨きの時間、微調整を考えると2週間以上は見ておく方がいいと思います。
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