モールドの製作について
モールドの製作は精度を出すのに、手間と時間がかかります。また作業自体は単調で、すぐ飽きが来るので、期間としては 4週間程度と気長に構えた方がよいと思います。作業の早い遅いは個人差がありますし、道具の有無によっても大きく異なります。なお、作業期間は、1日3時間、週4日程度の作業で、 私なら何週間目処ぐらいかを記載しています。 |
図面の作成
特に大きさに決まりは無いと思いますが、モールドの材料費を安くおさめるなら、全長500mm以内、横幅は一番幅のあるところで350mm以内 にしておく方が経済的です(理由は後述)。 モールドを作るためだけの図面ですから、ボディの半分の図でO.K.です。方眼紙に、600mm×225mmのサイズを線で囲み、エンド部を基準に、 そこから50mmの余白が取れるように配置して、描きこみます。これで図面製作は終了です。 |
テンプレートの作成
貼り付けたら、厚紙のサイズ、600mm×225mmに方眼紙を切り取ります。切り取れれば、次に図面の線にそって胴の形を切り出します。 切り取れれば、テンプレートの出来上がりです。使うのは、上の余白の方です。残った内側の方も捨てずに、モールドの材料やギターの 材料を買い出しにいくときに、持っていくと便利かもしれません。 600mm×225mmでは少し大きすぎるので切り落とし、最終的にベースになる板のサイズは550mm×200mmになりました。 |
モールドの材料について
ネットで調べると、アマチュア製作家の中では、ファルカタ集成材が軽くて丈夫と評判なようです。でも600mm×200mm×12mmの板材を6枚取る材 を買うと、2,000円以上します。ペニヤ合板なら半値ぐらいでできますね。私はベニヤ派です。 ベニヤ板や集成材を購入するなら、ホームセンター等で900mm×1800mmのものを買って、切ってもらう方が、切ったものを購入するよりお安くな ります。まず900mm×600mm(実際には刃幅の分があるので、少し小さくなります)3枚に切って、それを更に225mm×600mmの4枚に切ると、3枚× 4枚=12枚の板ができあがります。 今回作るギター自体は、縦450mm、横300mm以内ですから、モールドの材料は、550mm×200mmでおさまる計算です。胴厚は65mm程度を考えていますの で、実厚の2/3もあれば十分でしょうから、40mm前後になります。12mm厚の板で3~4枚です。胴の精度や、後々作業を考えると、4枚で48mmにする べきだと思います。しかし、私は怠け者なので、面出しが楽な、3枚で36mmを選択します。 写真が今回購入した材料です。結束してあるのが、550mm×195mm×12mmのペニヤ6枚です。ペニヤの接着にタイトボンドを使うのは勿体無いので、 ついでに木工用のボンドも購入しました。ちょっと量が多すぎますが、まあいつか使うこともあるでしょう。 |
モールドの貼り合わせ
片側3枚、計6枚の板を切り出せれば、次は貼り合わせていきます。接着には、前述した木工用ボンドを使います(価格が安くて、 それなりに使えるので)。角をあわせて貼り合わせていきます。
モールドの厚みは12mm×3枚で、36mm。本音を言えば60mmぐらい(ベニヤ板5枚分)は欲しいです。厚くなるとギター製作自体は 楽になりますが、モールドの内面を仕上げる難易度が上がりますので、一長一短です(モールド内面の直角が出ていないと、ギター の側板が正確にできません)。 あふれ出した接着剤は硬くなる前に濡れ雑巾等で拭き取ります。接着剤がついたままヤスリ掛けすると、すぐに目詰まりしますので。 |
内面の整形
今回使用するモールドは、原則左右均等で考えていますので、左右をクランプで固定して、面を仕上げていきます(私の腕では、そうしな いと左右均等に仕上げられない)。固定し終えたら、改めて形を罫書きます。 1枚ずつジグソーで切り出していますので、作業前の面はバラバラです。木工用の粗めの金属ヤスリでラフに面をならします。多少表面が 毛羽立ちますが、とりあえず気にせず進めましょう。 ラフに仕上がれば、次は半丸ヤスリでひたすら削りだします。
これは慣れが必要みたいですが、小さな凸凹や、曲線がちゃんとでているかどうかは、面を指でさわってみると案外よくわかります。 修正する場合は、修正箇所だけをさわるのではなく、広い範囲でヤスリをすべらせたほうが綺麗に仕上がります。 |
外面の整形
モールドを加工するときは、先人のホームページ等を見比べて、技術、工具、手間などを勘案して、自分に一番適した組立方法を見つけて、 その作業工程をイメージしながら、モールドを仕上げていきます。 私の場合、ブロック、ライニング等の接着にクランプを使いますので、内面に垂直にクランプがかけられるように、内面と平行に近い感じで、外面を加工します。最初にノコギリでラフに切り出します。何回かに分けて切り、罫書きのラインに近いところまで切り出しておく方が後々楽です。
最初に粗めの平ヤスリ(木工用)を使いラインをラフに出していきます。内側ほど精度は出ていなくてもいいですが、原則直角がでるよう に仕上げていきます。 おおよそのラインが出れば鉄工用のヤスリで仕上げます。場所によって平ヤスリ、半丸ヤスリを使い分けます。 |
エンドブロック側の固定
蝶番はできるだけ遊びの少ないものを選びました。 蝶番を瞬間接着剤で仮付けし、キリでポイントを落としてから、電動ドリ ルで2mmの穴を開けます。木工では常識(中学校の技術家庭で習った)だと思いますが、先に穴を開けずにいきなり木ネジを 入れると、割れてくることがあります。
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ヒールブロック側の固定
溝が彫れたら、ボルトの頭とナットを引っ掛ける部分を加工します。実際に固定用ボルトを置いて、頭とナットの位 置と大きさをマーキングします。山型に切ってしまうと、ボルトを締めるとネジが外に逃げてしまうという事態になりま すので、できれば垂直に、最悪でも逆山型になるように、ノコギリとノミを使い頭のひっかけを作ります。 ひっかけが出来上れば、ボルトを締めて固定します。エンド部同様、ボルトで固定できるようになったところで、仮止めの薄板を外します。 ようやくモールドが完成しました。
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