胴削り |
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溝が切れれば、裏板のラインに合わせて胴を削っています。言い忘れていましたが、側板の形状が狂わないようにセンター
に突っ張り棒を1本入れています。これが入っていないと、側板が逃げて、胴削りがうまくいきません。
胴削りの私のやり方は、少しカンナを斜めにして、裏板のRに沿ったラインを作っていきます。私はカンナを使うやり方が、
いかにも職人ぽくて好きなのでこうしてますが、このやり方も人それぞれです。
アマチュア系は、角度付けて伸ばした木の先に、サンドペーパー付けて、角度をつけるのが主流でしょうか。アメリカのshop
を見ていると、すり鉢状になっているディスクを売っていますので、それを使う方法も便利なのかもしれません。どの方法でも、
結果的にきれいなラインが出ればいいと思います。
実際には多少胴のラインと裏板のラインが狂っていても、クランプ等で強く締めてやればくっつきます。ただ無理にくっ
つけている訳ですから、裏板にストレスがかかりますので、最悪は接着時に力木や裏板が割れたりします。また、例えその
時に割れなくても、数年後に裏板が割れたり、力木が折れたり、接着部が外れてきたりします。
変にくっついてもサンディングで誤魔化してしまえば、なかなか見分けるのは困難です。買うときは製作者の技術と良
心を信じるしかないんですけど、かなり有名な製作家のギターで裏板の故障が多いことで知られているものもあります
ので、ギター修理を多く手がけてる工房などで情報を得るルートを持っておくとよいと思います。
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胴削りは結構手間がかかります。私流のチェックポイントを書いておきます。一番大切なのは、目視です。ラインがなだら
かにつながっているか、左右のラインが同じ形か等々。最近、目と指先の感覚だけで、完全な平面を作れるようになって、よ
うやくスタートラインかなと思ったりしています。目視だけでも、案外正確なところが出るものなんですけど、念のためスコ
ヤで厚みが正確かどうか、左右同じ場所を測って
確認しておきます。
裏板と胴が隙間なくくっついているかどうかも確認します。内側からと外側から両方確認します。ちなみにギターの機能
で言うと、特に重要なのは内側のくっつき具合です。極端に言うと、外側はバインディングを貼る時に取り除きますから、
最悪内側から2/3くっついていれば何とかはなります。逆にいうと、内側に隙間があるギターは何ともならないというこ
とですが・・・。しかし、外側はくっついてなくてもいいという訳ではないです。外側がちゃんとくっついていないと、ト
リマー等で加工したとき、裏板が飛ぶことがあります。当り前のことですが、完璧を目指しましょう。
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背筋のライン(ヒールからエンドブロックにかけたのライン)がきれいな曲線を描いているかも確認します。合わせる部分
にだけ集中していると、真ん中が凹んだギターができてしまったりします。左右もなだからなラインが崩れていないか確認し
ます。
胴を削ると、溝が浅くなってきますので、そのたびに溝を深くし直します。胴削りに時間をかけ過ぎると、ライニングが
薄くなってきて、非常に見栄えが悪くなります。基本は完璧な仕上げですが、アマチュアの場合はある程度で妥協しておく
ことも必要だと思います。プロは商売ですからすべて完ぺきに仕上げることが当たり前ですが、アマチュアは楽しみで作っ
ているので、完璧を目指し過ぎて、途中で嫌になってしまうと意味がないですから。
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