側板の曲げ |
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ブロックが仕上がれば、側板を加工します。ネック部とエンド部で厚みが違うので、側板をテーパーに加工します。側板に
鉛筆で罫書き、カンナで削っていきます。削ったところを合わせて、隙間が無いくらい真っ直ぐに削れることが理想です。い
わゆる双葉定規の理屈で、普通の定規よりも正確な究極直線です。わかる人にしかわからないような話ですね。
テーパーに加工し終えたら、1晩水に浸します。いつものように、お風呂にゆっくり浸かってもらいます。浸ける長さは製
作者によって違うみたいですね。余り長くつけておくと、お風呂が檜風呂の匂いになります。
曲げには殆どの方がベンディングアイロンを使うと思いますが、私は古い人間なので、鉄管をガスで熱して使います。性
能云々より何より、コストが果てしなく安くつきます。大概1台はカセットコンロをお持ちだと思いますので、鉄管購入だけ
なら、1,000円もかからないと思います。
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まずは、胴のくびれから曲げていきます。表板に対して直角になるように曲げます。何故くびれからなのかの理由はわか
りません。途中で何度もモールドにあわせてみて、曲げる位置、曲げ具合などを確認しながら作業を進めます。
変にあわてると、側板の裏表や上下を勘違いして、誤った向きで曲げてしまうことがあります。業務用のホットプレ
ス(!?)があれば直るらしいですが、手曲げで直すことは不可能に近いようなので、その辺りは慎重にします。
くびれができれば、次にボディラインを曲げていきます。ボディラインを曲げていくと、くびれが元に戻って開
いてきますが、癖さえついてしまえば、モールドに入れたとき曲がりますので、特に気にしていません。
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曲げ終えれば、1日以上モールドに入れて側板に形を憶えさせます。メイプルは曲げる時に、しわがよったり、全体に
丸くならずに直線的に尖ったり、毛羽立ったり、木目にそって裂けてきたりと、どちらかと言えば扱いにくい材だと思い
ます。
特に杢のある材は癖が良くないので、無理に曲げず、ある程度時間をかけてのんびり曲げた方がいいと思いますが、白木
ですので、作業自体をのんびりしてしまうと、木肌に焦げ跡がつく場合があります。曲げていくのはゆっくり、作業は手早
くになります。
余談ですが、私の数少ない経験からでも、曲げだけならローズウッドの方が、遥かに楽です。その代り、フィラーを使わ
ずシーラーだけで塗装下地を作った場合、ローズウッドは気孔を埋めるのが大変です(単に経験指数の問題ですが)。私は
師の「よい音を出すために、可能な限り余分なものは使わない」という教えを忠実に守って、フィラーを使わないのですが
、間違いなくフィラーを使った方が楽だと思います。
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