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last update 2014.11.28

私の雑記帳〜ギター購入外観編〜

4 表板



4 表板


 




「A=真直ぐ」




 表板は単板、合板ともセンターにはぎ合わせのあとがあります。数ミリずれたところで音にそれ 程影響のあるものではありませんが、微妙なずれでも、案外違和感を感じたりするものです。エン ド部、斜め上方から見ると真直ぐはぎが通っているのが見えます。スーッと目で辿っていって、セ ンターを通っているでしょうか。


 細かい部分で言うと、バインディング、パーフリング、 はぎのそれぞれの継ぎ目が一直線につながっているでしょうか?

 継ぎ目のラインをあわすのは結構難しくて、微妙にずれたりしやすいものです。 またバインディングやパーフリングの厚みは、左右あっていますか。 継ぎ目に膠や接着剤が噛んでいませんか。






 パーフリングの模様はちゃんと連続していますか。  本来の音には、全く関係ない部分ですが、製作する方はかなり気をつけて製作している部分です。このあたりを丁寧に作ってあるギターは、全体的に丁寧に作ってあると判断できる可能性が高いです。



「B=C」




 ネックを仕込むとき、ネックのセンターとボディのセンターが一直線になるように調整します が、その時、指板の両サイドの延長線がサウンドホールの中心にきているかも同時に確認します。


 製作の工程上、かならず円が表板の中心にきていると限らないためです。実際に弦を張ると、 円のずれは結構目立ちますので、ずれている場合は、センターと円のバランスの一番分かりに くい落としどころにあわせるのですが、そのような技術論は省略。ボディのセンターから、円の 左右の長さを測って、等しくない場合は、サウンドホールがボディの中心にきていないと判断で きます。


「D≠水平」



 人間の目はかなり精度の高い部分があって、一見何か違和感があると感じた場合、定規で測っ てみると、位置がずれていたり、左右非対称であったりします。

 逆に錯覚等で、非常にごまかされ易いところもあります。表板を完全にフラットに作った場合、 ほんの1、2mm程度にもかかわらず、やけに野暮ったく感じたりします。それだけでなく、 ボディの左右の端を結んだラインをフラットにすると、ブリッジ部あたりが陥没して見えます。

 フラットトップのギターであっても端部分は数ミリ落として仕上げた方が、フラットに見え ます。そのため、アコースティックギターの場合、Xブレーシングの交点を頂上に若干のRを つけて削ります。






「1」「2」の辺りのラインは、端部を少し落とします。
「3」のラインは指板が乗りますので、フラットに仕上げてあります。

 すべてのギターがこうなっているわけでは当然ありませんが、角ばってやぼったいギター だなと思ったら面をチェックしてみるのもよいかもしれません。




 余談ですが、表板が左右で波打つの場合があります。 高価なドイツ松の方がこのように波打つ傾向があったりするようです。

 元々、1方向に反る傾向のある板をブックマッチで左右に開いているので、ある程度致し方 ない部分はあるようです。裏板のように、横断するブレースで支えてやれば矯正できないこと もないのでしょうが、表板の鳴りを殺してしまいますので、楽器としての機能を下げてまで矯 正する必要はないように思います。


「E≠凸 F≠凹」



 ある程度年数の経ったギターに見受けられる症状ですが、弦の張力によってブリッジの 後部(E)が盛り上がり、ブリッジの前部(F)がくぼんできます。この症状が進むと、
・ブリッジの位置が高くなり、弦高が上がる
・ブリッジの後部が起きてきてサドルと弦の角度が甘くなりテンションが下がる
 等の問題がでてきます。

 経年だけでなく、新品の場合でも、ブレースや表板の強度が不十分だったり、接着が甘いと 設計通りの強度が得られず、同様の症状がでている場合があります。このケースは修正可能で すが、かなりの金額がかかる上、またすぐにもとの症状に戻り易く、希少なビンテージでも余 りにもひどいものは購入を避けるのが無難でしょう。






 では、このような問題が発生するのがわかっていながら、なぜ改良されないのか?ギターの 構造上の泣き所がそこにあります。

 表板は、振動することで、音を出します。側・裏板のようにローズウッド等の硬い木ではな く、スプルース、シダーなどの振動しやすい柔らかい木が使われています。元々それ程強度の ない材料を使っている表板の中でも、最も強度の弱い部分はどこでしょう・・・サウンドホー ル付近です。なんといっても穴が開いているのですから。力は最も強度の弱い部分に集中しま すから、サウンドホール付近に集中し、ブリッジの前が沈んできます。サウンドホールがそこ にある限り、避けようがありません。

 後部の膨らみについては・・・ギターを一度鳴らしてみてください。ブリッジの後ろ辺りが よく振動しているのがわかると思います。膨らまないようにそこを補強したら・・・ご想像の 通り、鳴らないギターのできあがりです。今のところ、鳴るギターを作ろうとすれば、ブリッ ジ前の沈みとブリッジ後ろの膨らみは構造上しかたのない現象だということがお分かりいただ けたでしょうか。




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