ナット製作 |
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次にナットを製作します。材料は象牙です。牛骨と象牙とタスクとetc.音に与える影響は各論あって私が論じる必要は
ないと思いますが、自然物は工業製品と違い個体差が激しく、同じ象牙といっても固いものもあれば柔らかいものもあり
(柔らかすぎるものは使い物になりません)、象牙だから音がどうというのはあまり意味がない気がします。
ただ、磨き上げた時に浮き出てくる色と独特の網目は象牙ならではですので、ハカランダの木目模様と同様、その材でし
か出せない見た目の美しさは、何物にも勝ると個人的には思います。材料に使う象牙は元々印鑑用にラフに切り出したも
ののようで、かなり大きめです。サンドペーパーを使い、ナット幅に収まる厚みに落としていきます。
ベルトサンダーを使うと一気に減って楽なのですが、減らしすぎてまうことが多々あるので、私は手作業だけでしてい
ます。ベルトサンダーを持っていないという理由も大きいですが(他所の工房に借りにいくのも面倒ですし)。ナットと
サドルはベルトサンダーである程度まで減らしてから手作業で合わせこむのが楽は楽です。サンドペーパーとか平ヤスリ
とかだけでは、なかなか減ってくれないですし。お金に余裕があれば買えばいいのではないでしょうか。
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外形が整形できれば弦の溝を切っていきます。まず弦の位置を割り振ります。特製の定規みたいなの(stew-macとか
で売ってるやつです)を使う方もいますが、私の場合、指板の幅は出来高合わせ(設計通りの幅に仕上がらない)にな
るので、使いません(使えません)。
また、ナット製作時は、弦を張ったままの方した方がやりやすいです。指板と弦の間に何か噛ませ、弦を持ち上げて
おいて作業したり、ネックやヘッドの塗装面をタオルなどで養生して弦を横に外して作業したりしています。
巻き弦は針ヤスリ(細い丸ヤスリ)で削っていきます。ナットの溝の切り方が悪いと(角度とか、溝の形とか)、開
放弦で変な音がしますので、注意します。ある程度のコツは必要ですが、何回も経験すれば誰でもできるようになります。
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ナットの溝切り専用のヤスリも売っていますが、高いですから(ワンセット8,000円ぐらい?)あえて買わなくても、細い
丸ヤスリで十分です(東急ハンズとか、大きい模型店とか手芸店とかで買えます)。 細いヤスリは、たわみ易く、簡単に
折れたりしますので、ナット切り専用のヤスリを使う方がかなり楽なんだろうと思いますが(使ったことがないので想像で
す)、これも単に慣れだけの問題ですので、あえて高い道具を買う必要もないと個人的には思います。
1、2弦(プレーン弦)は、目立てヤスリで溝を切ります。この段階では弦高は高めにしておき、完成後に実際に弾きな
がら「もう少し低く」っていう感じに手の感覚で溝を少しずつ深くしてあわせていく方が安全だと思います。
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弦の溝が切れれば、目立てヤスリなどで少し長めに切り落とし、平ヤスリやサンドペーパーをつかってぴったりの形にあ
わせていきます。ナット溝の深さは巻き弦は1/2がはいるぐらい、プレーン弦はぴったりの収まるぐらいがいいようですの
で、上部をヤスリやペーパーで削り、平ヤスリとかサンドペーパーとかを駆使して、面取りをして形を仕上げます。形が
仕上がれば、コンパウンドで磨きあげます。
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