$BD6AG?M$N%.%?!<@=:n(B


since 2003.4.16

last update 2014.11.28



モールドの製作

 
 

モールドの製作について

 モールドの製作は精度を出すのに、手間と時間がかかります。また作業自体は単調で、すぐ飽きが来るので、期間としては 4週間程度と気長に構えた方がよいと思います。

 作業の早い遅いは個人差がありますし、道具の有無によっても大きく異なります。なお、作業期間は、1日3時間、週4日程度の作業で、 私なら何週間目処ぐらいかを記載しています。

図面の作成




 私は、基本的に図面は外形だけの図面しか作りません。その図面も使うのは、モールドを起こす時だけで、ブレースなどは材料に直接罫書 きします。ですので、毎回ブレースの配置が微妙に違います。製品管理失格ですね。

 とりあえずブレースの配置は置いといて、外形だけを方眼紙に書いていきます。この段階で、決めたことは、前述の通りボディの縦は全長 450mm以内、横は一番幅のあるところで300mm以内程度かな・・・ということだけです。

 特に大きさに決まりは無いと思いますが、モールドの材料費を安くおさめるなら、全長500mm以内、横幅は一番幅のあるところで350mm以内 にしておく方が経済的です(理由は後述)。

 モールドを作るためだけの図面ですから、ボディの半分の図でO.K.です。方眼紙に、600mm×225mmのサイズを線で囲み、エンド部を基準に、 そこから50mmの余白が取れるように配置して、描きこみます。これで図面製作は終了です。




テンプレートの作成




 図面が作成できれば、そこからテンプレートを作ります。透明のアクリル板を作られる方が多いように思いますが、お値段と加工の手 軽さを考えて、私は厚紙に貼り付けて、テンプレートを作ります。

 225mm×600mmサイズの厚紙を用意します。いいサイズの厚紙が無かったので、2枚貼りあわせで作ることにしました。スティック糊を厚 紙に塗って、角をきっちり合わせて貼り合わせます。

 貼り付けたら、厚紙のサイズ、600mm×225mmに方眼紙を切り取ります。切り取れれば、次に図面の線にそって胴の形を切り出します。

 切り取れれば、テンプレートの出来上がりです。使うのは、上の余白の方です。残った内側の方も捨てずに、モールドの材料やギターの 材料を買い出しにいくときに、持っていくと便利かもしれません。

 600mm×225mmでは少し大きすぎるので切り落とし、最終的にベースになる板のサイズは550mm×200mmになりました。




モールドの材料について





 モールドの製作には、合板等の貼り合わせの材を使用します。貼り合わせの方が狂いが出にくいからで、決して単価が安いからではありません。 もし無垢で狂いがでなければ・・・やっぱり合板使いますね、安いから(語るに落ちた!?)。

 ネットで調べると、アマチュア製作家の中では、ファルカタ集成材が軽くて丈夫と評判なようです。でも600mm×200mm×12mmの板材を6枚取る材 を買うと、2,000円以上します。ペニヤ合板なら半値ぐらいでできますね。私はベニヤ派です。

 ベニヤ板や集成材を購入するなら、ホームセンター等で900mm×1800mmのものを買って、切ってもらう方が、切ったものを購入するよりお安くな ります。まず900mm×600mm(実際には刃幅の分があるので、少し小さくなります)3枚に切って、それを更に225mm×600mmの4枚に切ると、3枚× 4枚=12枚の板ができあがります。

今回作るギター自体は、縦450mm、横300mm以内ですから、モールドの材料は、550mm×200mmでおさまる計算です。胴厚は65mm程度を考えていますの で、実厚の2/3もあれば十分でしょうから、40mm前後になります。12mm厚の板で3〜4枚です。胴の精度や、後々作業を考えると、4枚で48mmにする べきだと思います。しかし、私は怠け者なので、面出しが楽な、3枚で36mmを選択します。  写真が今回購入した材料です。結束してあるのが、550mm×195mm×12mmのペニヤ6枚です。ペニヤの接着にタイトボンドを使うのは勿体無いので、 ついでに木工用のボンドも購入しました。ちょっと量が多すぎますが、まあいつか使うこともあるでしょう。




モールドの貼り合わせ






 材料を入手したら、厚紙で製作したテンプレートを使って、ボディの形を転写し、調整する余裕を見てジグソーで切断します。 バンドソーを使う方が多いですが、それなりの性能のものはお高いので、私は性能の割りに安価なジグソーを使っています。

 片側3枚、計6枚の板を切り出せれば、次は貼り合わせていきます。接着には、前述した木工用ボンドを使います(価格が安くて、 それなりに使えるので)。角をあわせて貼り合わせていきます。






 ボンドが塗れれば、クランプで締めます。締める時、接着剤ですべって、せっかくあわせた角がずれないように注意します。

 モールドの厚みは12mm×3枚で、36mm。本音を言えば60mmぐらい(ベニヤ板5枚分)は欲しいです。厚くなるとギター製作自体は 楽になりますが、モールドの内面を仕上げる難易度が上がりますので、一長一短です(モールド内面の直角が出ていないと、ギター の側板が正確にできません)。

 あふれ出した接着剤は硬くなる前に濡れ雑巾等で拭き取ります。接着剤がついたままヤスリ掛けすると、すぐに目詰まりしますので。




内面の整形






 接着できれば、モールドの内側を整形していきます。内側の面の仕上げがいい加減だと完成したギターの側板が歪んでついたりしますので、 地味ですけど、ギターの仕上がりを大きく左右するところです。

 今回使用するモールドは、原則左右均等で考えていますので、左右をクランプで固定して、面を仕上げていきます(私の腕では、そうしな いと左右均等に仕上げられない)。固定し終えたら、改めて形を罫書きます。

  1枚ずつジグソーで切り出していますので、作業前の面はバラバラです。木工用の粗めの金属ヤスリでラフに面をならします。多少表面が 毛羽立ちますが、とりあえず気にせず進めましょう。 ラフに仕上がれば、次は半丸ヤスリでひたすら削りだします。






 大切なのは、側板の面が平面に対して直角が出ていることです。スコヤを使い、どの面に当てても直角が出るように加工します。 こつでもないですが、ヤスリを動かすときは、水平を意識し、揺れたり斜めに当てることがないように気をつけます。

 これは慣れが必要みたいですが、小さな凸凹や、曲線がちゃんとでているかどうかは、面を指でさわってみると案外よくわかります。 修正する場合は、修正箇所だけをさわるのではなく、広い範囲でヤスリをすべらせたほうが綺麗に仕上がります。




外面の整形






 内面ができれば、次に外面を加工します。モールドの加工は製作方法によって違いますので、自分にあった製作方法で加工が必要になります。 例えば、表板、裏板にスプールクランプを使う場合は、ネジ部が通る穴を開ける等。

 モールドを加工するときは、先人のホームページ等を見比べて、技術、工具、手間などを勘案して、自分に一番適した組立方法を見つけて、 その作業工程をイメージしながら、モールドを仕上げていきます。

 私の場合、ブロック、ライニング等の接着にクランプを使いますので、内面に垂直にクランプがかけられるように、内面と平行に近い感じで、 外面を加工します。最初にノコギリでラフに切り出します。何回かに分けて切り、罫書きのラインに近いところまで切り出しておく方が後々楽で す。






 かなりラフに切り取っていまので、ここから曲線に仕上げていきます。面を仕上げずにそのまま使うと、ささくれ立った面で指を怪我する 場合もありますので、丁寧に仕上げます。

 最初に粗めの平ヤスリ(木工用)を使いラインをラフに出していきます。内側ほど精度は出ていなくてもいいですが、原則直角がでるよう に仕上げていきます。

 おおよそのラインが出れば鉄工用のヤスリで仕上げます。場所によって平ヤスリ、半丸ヤスリを使い分けます。




エンドブロック側の固定






 最終の仕上げにはいります。念のため、止め具取り付け時にモールドがずれないように薄板を貼り付けて、左右を固定します (多分、こんな作業は不要です)。固定できれば、接合部分の内面をヤスリで整えていきます。つなぎ目の部分がブロックの面 出しの基準面になりますので、正確な面がでるように、慎重に仕上げます。

 蝶番はできるだけ遊びの少ないものを選びました。 蝶番を瞬間接着剤で仮付けし、キリでポイントを落としてから、電動ドリ ルで2mmの穴を開けます。木工では常識(中学校の技術家庭で習った)だと思いますが、先に穴を開けずにいきなり木ネジを 入れると、割れてくることがあります。






 ネジの打ち込みは楽をして、電動ドリルを使いました。それなりに気を使って、真っ直ぐ、ねじ山をつぶさないようにします。 固定できれば薄板を外します。




ヒールブロック側の固定






 ヒール部はボルトで固定しますので、まずボルトを通す溝を切ります。のこぎりで直線を入れます。直線が切れたら、 ノミで溝を彫り出します。いいノミを使うのは勿体無いので、百均の使い捨てノミ使い、金槌で叩いて彫り出しました。

 溝が彫れたら、ボルトの頭とナットを引っ掛ける部分を加工します。実際に固定用ボルトを置いて、頭とナットの位 置と大きさをマーキングします。山型に切ってしまうと、ボルトを締めるとネジが外に逃げてしまうという事態になりま すので、できれば垂直に、最悪でも逆山型になるように、ノコギリとノミを使い頭のひっかけを作ります。





ひっかけが出来上れば、ボルトを締めて固定します。エンド部同様、ボルトで固定できるようになったところで、仮止めの薄板を外します。

 ようやくモールドが完成しました。

 


前のページへ 目次へ 次のページへ