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last update 2014.11.28

ギター購入について〜海外編〜





【はじめに】

 時間がたつと情勢がまた変わると思いますので、これは2008年時点での内容です。マーチンや ギブソン、フェンダーといったアメリカ製のギターをアメリカで買った方が日本で買うより安いので、 個人輸入で買う・・・という時代は2000年代前半までで終わりました。

 最近(2008年11月)は、円高が進んでまた情況もかわっていますが、それでも6、7万円ぐらい の安いツアーでロスに旅行して、ギターを2本買って帰ってきて転売すれば、旅費が浮いてしまうという 夢のような時代には戻っていないと思います。新品の場合はまだ、アメリカから直接買った方が、日本よ り安く買えたりするようですが、中古に限ると、多分マーチンが一番安く買えるのは日本でしょう。ヤフ ーオークションなどを見ると、運がよければ90年代のD−28が、10万円台前半で買えてしまったり しますから。

 ヨーロッパ、例えばスペインなどでクラシックギターを買う場合は、まだまだ差益はあると思いますが、 個人的にヨーロッパから買い入れたことが無いので残念ながら詳しく書くことができません。今回はアメ リカに限って書いていきたいと思います。

 海外から購入する場合、ある程度のリスクをおかしてでも買う価値のあるギターでないと買う意味があり ません。試奏できない、実質返品できない(送料がばかにならない)などのリスクを負うわけですから。 買うなら、日本ではまず手にはいらないギターか、同等品が市場にめったに流れない古いものを買うのが ベターでしょう。

 リスクについてもうひとつ書いておくと、もし注文して引き落とされた後、商品が届かなかった場合、 カード会社は何もしてくれないと思っておきましょう。全て自分で交渉することが必要です。ある程度 英語で会話ができる人でも、電話で話すと相手の表情が見えないこともあり、対面で話すより遥かに難 しいです。結果、メールやFAXでの交渉になりますが、日本のお店と交渉するより遥かに労力も時間もか かるのは間違いありません。

 また、私の経験から言うと、美品の基準はアメリカの方が相対的に甘いです。日本でもこれは新品同様 とは言えないだろうというギターが新品同様で売られていたり(ヤフーオークションに多い気がします)、 アメリカでも本当に美品が届いたりしますので、絶対ではありませんが、日本とアメリカの基準はワンラ ンク違うと思っておくほうが無難です。



【どこのお店で買うか】

 初めて海外から購入するなら、日本でも有名なお店で買う方が無難です。昔話をしますと、1990年代 前半、まだwindows95がでる以前、個人輸入といわれていた頃から、日本からの注文を受けるshopとして 雑誌等に紹介されていたお店が2店ありました。 Elderly InstrumentsMandolin Bros.です。 私はElderly Instrumentsとしか取引したことが無いのですが(Mandolin Bros.の方がものはいいのだと思い ますが、高いので)、対応は満足のいくものでした。日本との取り引きも多いと思いますので、初心者には 取り引きしやすいお店だと思います。

 アメリカは海外への通販が一般的なようで、ネットで商売をしているお店では簡単に日本に送ってくれ たりします。気になる商品があれば、とりあえず、メール等で日本に送ってくれるかどうか聞いてみま しょう。まるっきり無視されたり、「送料+$1000の手間賃をくれたら送るよ」をみたいなとんで もない返事がくることもありますが、ちゃんと答えてくれるお店が多いです。日本では余り知られて いないお店に結構いい品が置いてあったりしますので、慣れればリスク覚悟でチャレンジするのも 有りでしょう。ただ、全て自己責任になりますが。

 最後に自分で取り引きしたこともないし、日本に送ってくれるかどうかもわからないのですが、 個人的にこのshopなかなかやるなと思っているお店があります。 Dream Guitarsというお店なんです けど、手工作家を中心に面白い品揃えをしていると思います・・・お高いですけど。

 あとebay等の海外オークションで買う方法もありますが、リスクはかなり高いです(経験有り)。 ここで言うリスクは、詐欺等のだまされるリスクではなく、商品の質の話で、beautifulと書いてあるから 買ったのに、状態が悪かったとか、ちょっと接着剤でくっつけるぐらいの手直しが必要ですと書いてあった が、実際は10万円以上リペア代がかかる状態だった等々。たまに大当たりもありますが(1910年代の 楽器なのに本当に信じられないほど美品だったり)、過剰な期待をすると、がっかりします。楽器店で商品 を買う感覚ではなく、リサイクルショップやフリーマーケットでエレキギターを買って、音が出たら儲け ものぐらいの感覚で購入することが必要でしょう。

 あとでまた詳しく書きますが、オークション等の個人売買(shopの出品を除く)で、ハカランダ等を 使用したギターを買い、サイテスや輸出許可を取ってもらうのは実際問題として不可能でしょう。いくら 安くても、税関を通過できなければ意味がありませんから、個人売買でワシントン条約にかかるような 楽器は、購入を見送った方が無難でしょう。

 あと、大きな声では言えませんが、ハカランダと書いてあるけれど、どうみても違うやろという商品も たくさんあります。そういうのは、簡単に税関を通りますので、悲しいけれど心配いりません。まあ、 国内でも、単に板目のローズなのにハカランダを騙った真っ赤な○○のハカランダは一杯あるので、 目利きに自信がなければオークションでハカランダは買わない方が無難ですね。



【いざ購入】

 今は、クリックと住所、名前、電話番号(81の国番号から記入します)、あとはVISAかアメリカンエキ スプレスのカード(この2社が使えるところが多い)番号を記入すれば、簡単に海外から買える時代ですが、 実際に試奏できない商品を購入する訳ですから、気になることがあればしっかりメール等で事前に確認して おきましょう。

 昔は、雑誌に載っている例文を参考に、和英辞典を引きながら英文を書いたものですが、最近はexciteの 翻訳のページなどを使い簡単に英文が作れます。ただ、S V O Cをしっかり書いた日本語で入力しないと、 変な英文ができあがりますので、ご注意を。結局、単語を引くのにしか使えなかったりするのですけどね。

 それと調子に乗って、素晴らしい文章で送ると、「おっ、こいつ英語ができるな」と思われて、読む気も なくなる長文が送られてきて(excite翻訳では変換できない口語文の上、辞書に載ってない単語や方言、 更にはスペルミスなどが含まれていたりする)、実際に知りたい内容はどこにあるの!?ということにな ります(これは個人売買に多い)ので、ちょっとたどたどしい英文の方が無難かもしれません。

 あと送料は、お店によってばらばらです。国際郵便を使うところは、送料は安いですが、1〜2ヶ月、 到着までかかります。国際宅配便の場合は、トラブルが無い限り(税関で止まる等)1〜2週間で届き ます。送料は1〜2万円の範囲になるのではないかと思います。カナダから買う場合はプラス1万円ぐらい みておくとよいと思います。

 また、送料等はshopに払った送料だけで済む場合もあれば、受け取り時に別途国内送料を請求される場合 もあります。また関税を宅配業者に請求される(宅配業者が立て替えている)場合もありましたし、請求書 がついていて別途振り込んだこともあった気がします(なんだかんだ言いながら結構な回数海外から購入し ているので、記憶が曖昧)。そこらへんはケースバイケースですが、必要なものは払いましょう。



【昔はどんな感じだったのか】

 ネットが普及する前は、どんな感じだったのか!?私の得意なところです。当時の資料も残っています。


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 何通かfaxで注文していますが、ほぼこの形でした。まず、向かって(以下同じ)右上に自分の名前、 住所、電話番号等。その下左側に相手(この場合はエルダリー)の社名、住所、電話等。その下、右側 に日付。そこから本文。「Dear Sirs」で始まっていますが、女性が担当者になる場合も当然あります。 あんまり気にしていませんでした。

 まず、「中古情報に載っていたこのギター、注文したいんだけど?」と書き出して、商品名とお値段、 送料等。これfaxで頼んでいた末期の頃みたいで、送料が事前にわかっています。もうちょっと前のもの になると、日本への送料なんて明示されていませんでしたから(日本への送料が明記されるようになっ たのは、日本からの取り引きが増えたからでしょうね、多分)、「適当に送料も足しといて!!!」って 書いていました。

 っで、カード番号。サインだけは手書きします。カード登録の際は漢字でしている方が多いと思いますが、 注文の際その通り漢字でかくと相手がチンプンカンプンになると思うので、ローマ字で書きました。最後は お決まりの文章で、「到着楽しみにしています」と書いて、最後に再びサインを手書き。

 ではおまけで、エルダリーインストゥルメンツに注文したFAXの控えから見る、約10年前の中古の相場 を掲載します。

1954年 GIBSON LG-3/4 $800
 ※買いました→手放しました
RECENT BOURGEOIS OM $1,350
 ※在庫有りましたが買いませんでした。今相場いくらぐらいなんでしょ!?
1955年 MARTIN 000-28G $1,250
 ※在庫有りましたが買いませんでした。今、相場$2,000超えてますね(ーー;)
1967年 MARTIN 00-21 $1,200
 ※買いました。AS-ISで、結局買った額以上に修理代がかかりました。
1966年 GIBSON B25-12 $525
 ※AS-ISだったように思います。SOLD OUTだったように思います。

 残念ながらグレーベンカスタムは、売り切れのSORRY FAXしか無く正確な値段はわかりませんでした ($1450だった気がするのですが)。あと買ったものの内、MARTIN 00-18Gは売ってしまったので 正確な値段は秘密ですが、$1000は切っていました。送料は$230→$190→$145と下がってきています。 思い切って買ったり、今も手元においておけば、結構値打ち物になったようなのが多いですね。



【輸入許可について】

 ワシントン条約に基づき輸出入が規制されている材料が使われているギターは案外あります。ブラジリ アンローズウッド【附属書T】が有名ですが、他にもホンジュラス・マホガニー【附属書U】になってい ます。木材だけでなく、象牙【附属書T及びU】や鼈甲【附属書T】などもありますので、古い(196 0年代以前)ギターを輸入するときは特に注意が必要です。以下私の実話を記載しておきます。

 1999年のことです思います。「エルダリーインストゥルメンツ」でMARTIN 0018G(1957製) を購入しました。受注のFAXには発送まで1ヶ月程度かかる旨となにやらその理由らしき内容が書かれてい ました。「海外に注文すると意外と時間がかかるものだなぁ・・・」っとぼーっと考えているうちに1ヶ 月がすぎ、発送の連絡と公文書らしきFAXが届きました(感のいい方気づきました?)。

 それもあんまり気にすることなく、数日経過・・・宅配便会社から電話が。「○○○便ですが、エルダリ ーインストゥルメンツからの商品が届いているんですが、輸入許可証を至急送っていただけますか?」 そう、当時のMARTIN0018Gは指板にハカランダが使用されており、ワシントン条約に基づき輸入許可が必要 で、FAXされてきたのはC.I.T.E.S.だったのです。

 もしかして、羽田からアメリカに返送!?あわてて当時の通商産業省に電話したところ、ちゃんと素人 向けのマニュアルがあり、FAXしていただき、それに沿って申請したところ約2週間で許可が・・・感涙。 空港の倉庫で長々と眠っていたギターはようやく私の手元に届きました。

 以上が簡単な顛末なのですが、1969以前のマーチンなどを購入するときは、特に注意が必要です。 カタログにはローズウッドって書いてあっても、ハカランダだったとか案外多いです。ではその時の 輸入申請の資料を公開します。

 まず初めに、本来必要な書類ではない(いわゆる送付状ってやつです)のですが、申請になにが必要か よくわかる書類なのでUPしてみます。ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)はワシントン条約付属 書面Tに揚げられています。かなり規制の厳しいものになり、条約発効前に取得されたものしか認めら れません。


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申請に必要なものは、まず輸入(承認・割当)申請書。通商産業省の出先みたいなところで購入するよう になっていました、当時。100枚以上でひと綴りになっていたと思うのですが、そんなに使いません個人 では。次に輸入割当説明書。これは自分で作らないといけません。また後ほど書きます。CITES。サイテ スっていうやつです。輸出側(通常はSHOP)で準備してくれます。商品注文から2週間以上かかったと思 います。インボイス。いわゆる注文書です。ジェネラルパーミッションっていうのもFAXで送ってくれまし たが、それは使いませんでした。以上が必要書類です。

では引き続いて、輸入割当申請説明書について。


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 書類だけみてると、すごく詳しい人みたいですが、本当は通産省の送ってくれた説明書にしたがって、 CITESに書いてあることを転記しただけです。マーチンはシリアルで製造年がはっきりしてるので、 条約前取得が証明できる!?・・・のかどうかはよくわかりません。CITESは輸出側がとるので、 自分ではとったことありませんし、どんな基準で条約前取得を確認するのか知らないので。

 では記載内容にいきます。ブラジリアンローズウッド、学術名DALBERGLA NIGLA ハカランダって言葉は 一切出てきません。既にギターになっていますので、状態は「死」です。自分で使うために買うので、 販売(引渡)先は無し。空港でも輸入予定港と書きます。一応予定と書いてありますが、実際は既に羽田 について倉庫で税関通らずに保管されています。

 輸入割当も2週間ぐらいかかったように思います。輸入したあとに報告書を1通出すのですが、その文書 の写し(正本は当時の通商産業省、現在の経済産業省に提出済み)は、どこにいったのかわかりません。

 当時は、電話とFAXのやりとりでしたが、今は経済産業省のホームページに詳しく手続きが説明されて いるようです。ハカランダの輸入に関しては、案外多くの間違った情報が流れていますので、むやみに噂 やネットの情報を信じずに、ちゃんと経済産業省に問い合わせましょう。ちなみに私は、通商産業省に問 い合わせる前に、何と無く某外務省の外郭団体に問い合わせたところ、輸入許可はいらないという間違っ た情報を教えられ(当然必要です)、無駄に時間を浪費した経験があります。



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