木材同士を接着する場合、木目がクロスするように接着することが多いです。
例えば裏板のはぎと割れ止めの場合は必ず
こう接着します。決して
こう貼られることは有りません。理由は簡単ではぎが外れると
割れ止めも木目に沿って割れてしまいますので、割れ止めの目的が果たせま
せん。割れ止めあるいは補強の意味で木同士を接着する場合は大概木目をクロスさせます。
以前にホームページの雑記帳にも書きましたが、エンドブロックは通常横板と平行の木目で
接着しているものがほとんどですが、横板とクロスするように貼っている製作家の方もいます。
たまにエンドブロックが割れ、ついでに横板まで一緒に亀裂の入っているギターがあり
ますが、木目をクロスさせることで、防ぐことができます。しかしネックブロックは、必
ず横板と平行の木目で接着します。
ネックブロックはドイツ式でジョイントする場合、必ず横板の木目と平行
に貼り付けます(ネックの木目とはクロスしてるのですが)。ギターの部位の中では、最も力が
かかりそうなネックブロックをなぜ横板の木目とクロスで貼らないのか!?当然それなりの理由
があります。
難しい力学の話は省略して(文系なのもで苦手です)、
@ネックの順ゾリ
Aヒールとボディの隙間
Bサウンドホールの陥没
Cブリッジ後ろの膨らみ
といった症状が発生します。
今回はネックブロックのお話ですのでAについて。ドイツ式のネックジョイント(ダブテイ
ルジョイント)では、ネック方向に引っ張る力を
矢印の肩部分で支えることになります。更にネックブロックには弦の張力だ
けでなく、ネック強度を出すために仕込み時に、溝よりほんの少し大きいダブテイルをクラン
プ等で押し込んでストレスを与えていますから、もし横板とクロスの木目でブロックを貼ると、
木目方向に裂けてしまいます。
横板と平行方向に貼らないとブロックの強度が確保できないようです。でも、ドイツ式ネックジョイントの楽器すべてがこの木目方向で接着しているのでしょうか!?そんなことは有りません。例えばバイオリン。
ネックブロックの木目方向の原則はこちらになります。ギターに比べ張力が
小さいという理由も有ると思いますが、なぜこの方向なのか!?理由は木材特有の木の癖にあ
ります。
柾目に製材した板材をこのような状態で放置しておくと
こんな感じで反りがでます。これをネックブロックで考えてみると、
このような木目の状態で、板材と同じような変化が起こると、
ここまで極端に反ることは無いと思いますが、表板の変形やネックの反り
の原因になったりするため、バイオリンでは横板とクロスする方向でネックブロックが接着
されています。
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