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last update 2014.11.28

MATERIAL

材料に関して、私の知る限りのことを整理してみました。



表板





 クラシックギターでは「松」と「杉」が主流です。アコースティックギター風に言うとスプルースと シダ―。一般的に木目が密で真っ直ぐな物がよいとされているようです。ギターの音を決める重要な材 ですので、資金と相談にはなりますが、できるだけ高いよい材を使いましょう。

 アコースティックギターなどの表板の場合、柾目に挽かれます。マーチンなどでは、クォーターソー ンと呼ばれる木の北側の木目の密な部分を使用しているという話もありました。ただし、残りは全部捨 てるのかというと、そうでも無く(多分)ブレース材やライニング材、割れ止めなどの内部部材として 使用できます。

 板はブックマッチに挽かれ(5mm厚ぐらい)、楽器用の材木店では2枚セットで積まれています。材 料を買いに行って見せてもらうときには、2枚づつのセットを崩さないように、更に言うと、全ての順 番も変えないようにしましょう。まあ、アマチュアには触らせてもらえないでしょうけど。また、材を 選ぶときは、表面だけでなく切り口も見て、柾目か追い柾も確認しましょう。

 柔らかめの材なので、加工は非常にしやすいですが、すぐに減ってしまうので、削りすぎには注意し ましょう。また、柔らかいと言うことは、傷もつきやすいということですので、仕上げた後は取り扱い には十分気をつけましょう。

 なお、ギブソンLG−0のように表板にマホガニー(合板?)を使ったり、メイプルを使ったギター もあります。合板の化粧板(表面のつき板)は0.3mm程度の厚みしかなく、殆どの厚みが芯材です ので、ハカランダ合板とローズウッド合板の音の違いを聞き分けることは困難でしょう。デザイ ンと割り切った方が幸せになれると思います。



側・裏板






 裏板がどれだけ音に影響するのか!?はっきり言って私にはわかりません。同じ材から切り出した双 子の表板を使って全く同じ人が全く同じ構造で作り上げたら比較できるんでしょうけど、そこまで何台 も弾いた経験が有る訳ではないので。ですので、音については全くふれないことにします。

 最も高価で有名な材は、ハカランダでしょう。ワシントン条約で規制がかかって以降、その価値は上 昇する一方です。ハカランダに代表されるローズウッド系が最も多く使われる材かもしれません。あと は、マホガニー系、メイプル系etc.様々な材が使用されています。

 裏板の材は表板よりも硬い材が多く、加工の難易度は高めになります。相対的に美しい杢が出ている 材ほど加工は難しい傾向にある(場所により硬軟が異なるため)ようです。



ネック材






 ネック材、主流はマホガニーです。横・裏板と同じくホンジュラス・マホガニーが一番でしょうか。 クラシックギターの高級品にはセドロ(スパニッシュ・シダー)が使われている場合がありますが 、使ったことがありませんので、コメントは無しです。

 ホンジュラス・マホガニーの枯渇から、サペリ(アフリカン・マホガニー)が使用されることも増えてきています 。また、昔の安価なギターにはナトーが使われていました。

 また、バイオリン族では、メイプルネックが基本です。エレキギターやフルアコなどでも、メイプル ネックが使われたものもあります。見た目はフレイムのもが美しいですが、反りやすい(歪み易い)の で、3ピースにするなどの工夫がされています。見た目を気にしないのであれば、杢なしのハードメイ プルの方が安全だと思います。



指板材






 指板材は、硬くて減りにくい材が良い材とされています。バイオリンなどでは、杢の入ったメイプル ネックの場合、指板を外すと、ネックがいきなり反り出すものもあり、アコギでいうロッドの意味もも っているのかもしれません。

 真っ黒なエボニー(黒檀)が最も高級とされています。比重が重く、水に沈むといわれていますが、 実際に角材を持ってみると、その重さに驚きます。エボニーと表示されていても、縞黒檀の場合が 多々あります。見た目が明らかに違うので、見間違えることはないと思いますが。

 69年以前のD-18などは、ハカランダ指板です。ローズ指板のものより硬めのように感じます。輸入の際は 許可が要りますので、ハカランダ、サイド・バックで無いからといって油断できません。羽田で私の 00-18Gは1ヶ月以上止まっていました。比較的黒色の強い材が使われていますので、海外旅行でエボニ ーと思い買い込んで、税関で取り上げられないようご注意を。

 廉価モデルになると、ローズ指板になってきますが、サイド・バックをとった残りの材から使うのか 、硬い材のわりに数年使うと掘れて凹んできたります。また、黒色に着色されていることが案外多いです。



ブリッジ材






 アコースティックギターでは、黒檀が高級品とされていますが、クラシックギターではハカランダ、 インドローズなどが使われます。黒檀は欠けやすいので、ブリッジに直接結び付けるクラシックギター では、少し柔らかめ(といっても硬い材ですが)の方が、よいのかななどと思ったりします。

 ブリッジの質量が、音に与える影響が大きいのは確かなようです(経験による)。ただブリッジだけ で考えるわけではなく、黒檀の大きめのブリッジがついているものもあれば、オベーションのように軽 い材で作っているものもありますので、全体のバランスや目指す音の方向で総合的に考えた方がよいで しょう。

 また、ローズウッドの場合、指板同様、黒色に着色してあるものが多々見受けられます。弦高を調整 しようとして、ブリッジを鉋がけすると、茶色い木肌がでてきたりしますので、ご注意を。



内部構造材





【ブロック】
 ブロックにはネックブロックとエンドブロックがあり、マホガニーが使われることが多いです。 加工しやすさと強度を考えると、最も適した材なのでしょう。安価なキットを買うと、エンドブロ ックがスプルースのものもありますが、私はマホガニーにかえることにしています。






【ブレース材】
 表板のブレース材はスプルースのものがほとんどです。たまに、シダー表板のギターでブレース材も シダーというギターも見た気がしますが定かではありません。裏板のブレースはアコースティックギター の場合は、スプルース、クラシックギターの場合はマホガニーのものが多いように思いますが、あくまで も私が見た範囲ですので、断定する程の根拠はありません。マホガニーに比べスプルースは強度が落ちま すので、スプルースを使う場合は、マホガニーを使う場合より、高さを高くするようです。






【ライニング材】
 スプルース、シダー、マホガニーなどが使われます。個人的にはシダーが一番好きです。製作者によっ ては、表板と裏板のライニングの材をかえる(表板側はスプルース、裏板側はマホガニー等)方もいるよ うです。






【裏板の割れ止め】
 ライニング同様、スプルース、シダー、マホガニーなどが使われます。材は裏板のブレースと合わせる 傾向にある気がしますが、確信はありません。通常裏板単板のギターにはほとんどついていますが(合板 でもデザインのために付けてるものも結構あります)、ラリビーは単板でもついていません。






【側板の割れ止め】
 材は布、スプルース、マホガニー、ローズウッドetc.、形状は薄板から棒状の材まで結構バラバラです。 最近は、サイドブレースという方法を取る方もいますが、私的にはそこまでの境地に達していない(表板の ブレースだけで一杯々々)ので、割れ止まればo.k.程度で、材質は何でもいいかなと思っています。側単板 でも割れ止めのないギターもいっぱいあります。



その他の材





【バインディング】
 ローズウッド、メイプル等強度のある材が使われます。基本的に側裏板に使う材が使われています。 ローズウッドは曲げやすく、メイプルは曲げにくい(折れやすい)ように思います。一般的にセルバイ ンディングと言われるものは、セルロイド製のものとプラスチック製のものがあります。セルロイドは 発火性が高く使われなくなってきており、プラスチック製が主流になっているようです。






【パーフリング】
 クラシックギターでは着色した木材を重ねたものを使うことが多く、アコースティックギターでセルバイ ンディングの場合は、バインディングと同一素材のものが使われることが多くなっています。また、ヘリボ ーンのような寄木細工のような材が使われることもあります。1.5mmまでの材(0.5mm×3枚)なら比較 的容易に曲げることができますが、それ以上2.0mm以上の材(0.5mm×4枚)になると曲げる際に折れや すいように思います。また、1mm以下(0.3mm×3枚)程度の材なら熱を加えることなく曲げることができます。






【バックセンター】
 寄木、着色した薄板の組合せのものといったパーフリング同様のもの、中心に木材が有り両サイドに 着色をした薄板を組み合わせたバインディング同様の作りのもの等があります。はぎ合わせする時に挟 み込むパターンと、はぎ合わせをした後に溝を彫り込み、そこにはめ込むパターンとがあります。また、 バックセンターを使わないギターもあります。






【ロゼッタ】
 日本語で言うと、口輪です。アコースティックギターの場合、パーフリングと同様のものが使われる ことが多いように思います。ローデンのギターは、着色した薄板ではなく、メイプルやローズを巻いて いたと思います(パーフリングも)。マザーオブパールやアバロン等の貝(セルのにせ貝も含む)を使ったもの も(D-45とか)あります。また、最近はローズウッドやメイプルを円形に切り出したものを使う(手工系 に多い)ものも増えてきました。特にスポルテッドメイプルのものが、ここ数年増えている気がします。
 またクラシックギターでは、着色した棒材を組合せモザイク模様を作ったロゼッタを使用します。 それぞれ自分でデザインして製作し、ロゼッタを見ただけで誰のギターとわかるようです。 最近は、自分で作らず、外注するケースも増えているようです。






【エンド部の飾り】
 アコースティックギターでは台形のプラ(セル)やローズ、メイプル等の板材が、クラシックギターでは バックセンターに使うような材が使われています。音に重要な影響を与える部分でもなく、バインディング のように胴体保護の意味もなさそうなので、見た目重視でそれ程材質にこだわる必要もないように思います。






【ヘッドプレート】
 エボニー、ローズウッドが主流です。メイプルのものもあります。GIBSONの安いギター(LG-0とか)は、 貼られておらず、マホガニーそのままのものもあります。材を選ぶ時はヘッドプレート単体で考えずに、 全体の見た目のバランスを考慮して材を選ぶほうがようようです。






【ヒールキャップ】
 ローズウッド、プラスチック等が多いです。ないものも有りますが、ダブテイルジョイント等の場合は、 ネックを仕込むときにヒールの中央部をぴったり合わせるのは無理だと思いますので、つけたほうが無難で しょう。スペイン式の場合は、裏板と一体になったものも有ります。




写真引用の都合上、楽天商品とリンクしています。


【ピックガード】
 アコースティックギター等では、古くは鼈甲が使われていましたが、タイマイの激減とワシントン条約 によりピックガードを取れる大きさの材は入手が難しく、入手する機会があったとしてもとんでもなく高価 です。鼈甲が使われなくなってきたのは、材の枯渇もありますが、木材との収縮率との違いから、鼈甲の 収縮に引っ張られ、表板が割れるケースが多発したことも理由にあるように思います。
 その後セルロイド製が主流となりましたが、発火性が高く危険なため、現在はプラスチック製が主流と なっているのではないでしょうか。最近の流行(私的にもお気に入り)は、トーティスのピックガードです。 色合いも鼈甲に近く、厚みもありしっかり面取りもされているなど決して安価ではありませんが、価格以上の 高級感が得られると思います。
 また、フラメンコギターに使われるゴルベ板は透明の材が使われており、両面テープで貼るタイプは アマチュアでも結構簡単に貼れますが、厚みのあるしっかりしたものを接着剤で貼ろうとすると、中に 気泡がはいって結構難しいそうです。TACOMA等、デザイン的に透明のピックガードをつけたアコースティック ギターもあります。またローズウッドなどの硬い木材を使ったものもあります。



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